企画、デザイン、縫製、販売までの一貫体制で 日本人にしかつくれない日本のかばんを。 |
鞄工房 レリップ
村上天心(えいこ)さん |
──レリップには「革で生活を守る」という意味が込められているそうですが、設立されたのはいつですか? |
昨年(2008年)の6月1日です。
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──どういう思いから工房を立ち上げようと? |
たつの市は全国でも有数の高級皮革の産地で、私自身もタンナーの仕事に関わってきましたが、一次産業としての皮革は退潮気味で、正直しんどいものがあります。そこで3年も4年も前から、地場の皮革を使って企画からデザイン、縫製、販売まで一貫して地元でやっていく、そんなシステムなり事業が起こせないかとずっと思ってきたんです。素材としての皮革だけでなく、二次製品、最終製品としての皮革商品をたつの市から全国に発信していきたい。そうしないと(皮革産業は)生き残っていけないと思ったんです。
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──今回のIFFへの出展もその一環として? |
はい。ただ1月に開かれたIFFでは準備期間が短かったこともあって手応えがなかったんですが、たつの市商工会議所の肝いりで2月に同じ東京のビッグサイトで開かれたギフトショーに出展したところ、手応えがあって、消費者やバイヤーが何を求めているのかというのがよく分かった気がしました。
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──具体的に言いますと? |
ひとことで言うと「日本人にしかつくれない日本のかばん」ということでしょうか。日本人の感性に合ったかばんじゃないと駄目だということです。
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──そこで、今後は日本人の感性に合ったかばんをつくっていこうと? |
はい。たとえば皮革をふんだんに使ったかばんに鹿子絞りをポイントにあしらったり、染めにも化学薬品じゃなく草木染めのような自然のものを用いるなど、日本の伝統工芸が育んできた、日本人の感性にぴったりくる手法を取り入れる。それこそが日本人に求められているかばんだと思いますし、色目にしても、ウチにしかできない日本人好みの色を追求していきたいと考えています。
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──たつの市役所の近くに店舗を構えていらっしゃいますが、そうした商品もそこで? |
はい。ネット販売もやっていますが、実際の商品を手にとって見ていただきたいと店舗を構えました。将来的には革製品が好きな人に手ごろな価格で買っていただける商品ラインアップと、「レリップ」というブランドによる、30代以上の仕事を持っている女性をターゲットにした贅沢でこだわり感のある高級指向の商品ラインアップの2本立てでやっていきたいと思っています。
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──店舗には教室も併設されていますが? |
はい。4人の講師を招き、手作り革教室を開いています。初心者から上級者までを対象にしていますが、京都や大阪からも生徒さんが通われています。4月4日からは毎月第1土曜日にカービング教室も開きます。
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――最後にこれからの夢を。 |
最初にも言いましたように、地場の皮革を使って企画からデザイン、縫製、販売まで一貫して地元でやれる体制づくりをというのが私の夢です。そのためには人を育てなければならないし、「レリップ」というブランドも育てていかなければならない。まだまだ未知数ですが、私なりに一生懸命努力して、皮革職人やかばんづくりに携わる多くの人たちの熱い思いのこもった、物語がいっぱい詰まったかばんをつくっていきたいと願っています。
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──とても素敵な夢だと思います。ぜひ頑張って、たつのの空から夢と希望を全国に発信してください。 |
●鞄工房 レリップ
たつの市龍野町富永311−2 TEL/0791−78−8831
営業時間/(店舗)AM10:00〜PM6:00
(教室)AM10:00〜PM8:00
定休日/月曜日
http://www.lelip.net
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