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西播磨の9人の匠たちがIFFに出展
地場産業4社がギフト・ショーに初出展
vol.23 西播磨の優れた皮革工芸を全国に発信!
vol.22 インタビュー 姫路城で花開く平成の菓子文化
vol.21 首長インタビュー 旧市町の特色を生かしながら市民が参画する市民主体のまちづくりを
vol.20 首長インタビュー 林業の再生を目指して『宍粟らしさ』が息づく街づくりへ
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ギフト・ショー参加企業 座談会
ギフト・ショー出展を機会に 新しい販路の開拓と 地場産業相互の交流を
[出席者]    
株式会社リンクス 代表取締役 木村真一郎さん
株式会社東邦ゴルフ 専務取締役 荒深泰男さん
光洋製瓦株式会社 専務取締役 笹田賢治さん
大和産商株式会社 営業部次長 木下隆之さん
姫路・西はりま地場産業センター 牛尾護
※聞き手 姫路・西はりま地場産業センター 専務理事 平田悦造


厳しい状況に置かれている地場産業

――地場産業として今回のギフト・ショーに出展された4社の方にお集まりいただきました。まず簡単な自己紹介と、地場産業の業界としての現況についてお話ください。

木村

姫路市香寺町でゴルフクラブメーカーをやっている「リンクス」の木村です。
神崎郡市川町がアイアンヘッドの発祥の地で、そこから派生したヘッドメーカーが姫路市から市川町にかけて一時は最大80社ぐらいあり、地場産業を形成していましたが、近年は不景気で、お父さんの小遣いも一番後回しにされるという状況ですので業界も非常に厳しい状態にあります。
そうした中で、どういった形で知恵を出していくか、地場産業として生き残っていくための施策を考えていかなければならないので、今回じばさんセンターさんのお誘いを受け、積極的に参加することにしました。

荒深  市川町に工場を持ち、ゴルフクラブの製造販売をしている「東邦ゴルフ」の荒深です。  元々はヘッドの研磨が中心で、その後ゴルフクラブ全般を扱うようになり、大手メーカーの下請としてOEM生産に当たってきましたが、近年は大手が生産拠点を海外に移し、地場産業として成り立たなくなり始めているのが現状です。
  そこで、これまででしたら気にもとめなかったギフト・ショーの話をうかがい、現状を打破する何かのきっかけになるのではないかと思い参加しました。

笹田  「光洋製瓦」の笹田です。弊社は大正15年から姫路でやっている瓦の窯元で、もともと姫路は姫路城がある関係で瓦づくりが盛んな地域で、昔は50軒ぐらいの窯元が並んでいましたが、いぶし瓦の需要が減り、近年の不景気もあって現在では弊社を含め2、3軒に減っています。
そうした中で、何か新しいことに挑戦しなければと考え、瓦以外のインテリア商品の開発にも取り組んでいるので、今回のギフト・ショーに参加させていただくことにしました。

木下  「大和産商」の木下です。弊社は網干でマッチの製造からスタートし、今年で創業90周年を迎えます。
マッチは現在では姫路地区で全国の90%が製造されているという代表的な地場産業なのですが、百円ライターの誕生と昨今の禁煙ブームもあって需要が激減しており、弊社でもそれに代わるポケットティッシュやウエットティッシュ、うちわなどの販促商品に主力を置いています。そこでさらに新しい商品を開発し、新しい顧客の開拓をするためのヒントが得られないかと今回のギフト・ショーに参加しました。

じばさんセンターの後押しを得て参加

――先ほどの質問と重なるかも知れませんが、今回のギフト・ショーに参加された動機、理由についてお聞かせください。

木村  端的に言えば新規開拓のひとことです。こうした見本市への参加は初めてなのですが、じばさんから費用的な助成もしていただけるということなので参加を即断しました。

荒深

 

ウチも同じですが、ゴルフクラブが地場産業でなくなりつつある状況なので、何でもいいから前に進んでみようと。もちろん、すぐに成果があるとは思いませんでしたが、ゼロではないだろう。この際だから何でも飛びついてやろうと思ったんです(笑)。

笹田  私どもも一番の目的は新規開拓で、新しいつながりができないかと参加したのですが、新しいインテリア商品の開発にも取り組んでいますので、どういった商品が世の中に受け入れられるのか、マーケティングも兼ねてという思いもありました。

木下

 弊社も一番の目的は新しいお客さんの獲得で、商売の何かしらのヒントが掴めればと思い参加しました。
以前にも弊社単独で販促品の見本市に参加したこともあるのですが、その場合どうしても同業者が多く、埋没してしまいがちなので、ギフト・ショーの方が目を引くのではという思いもありました。特に今回はじばさんの助成もいただけるということでしたので(笑)、社長が即断しました。

新規開拓にもPRにもそれなりの成果が

――参加してみて、ご感想はいかがでしたか?
木村

 正直感じたのは、ゴルフクラブはギフト・ショーの目的とはちょっと違うのかな、ということです。テーマがエコということもあって、それに関する小物やバッグなどが多く見られたのですが、ゴルフクラブは弊社だけ。主催者の意図に反するアイテムだったのかなと思いました。
ただ、その中でも約60社と名刺交換し、パンフを約300枚配布。ネット関連、通販関連の会社からお見積もりの話や、実際にレスポンスもあったので、それなりの成果はあったとは思いますが……。

牛尾  事務方として、そのあたりを少し説明させてもらうと、じばさんとしてギフト・ショーに参加するのは実は今回が初めてなんです。で、生活雑貨フェアのブロックにブースを確保したのですが、新しい販路を開拓するためにはカテゴリーやターゲットを絞らず、いろんな業種・業界の方に見に来ていただけるようにした方がより効果的かな、と考えたんです。
 たとえばリンクスさんにしろ、ゴルフ業界の方にはよく知られている。だったらアンマッチでもいい、ゴルフ業界とは関係のない方との出会いも期待できるギフト・ショーもいいのではないかと。同じことが瓦にもマッチにも言えるんじゃないかと思うんですが。

木村  確かに、何屋さん?という雰囲気でしたね。ゴルフクラブがあれば瓦やマッチもある。

牛尾  おまけに上を見ると「NISHIHARIMAの調べ」とブース名が掛かっている。立ち止まって、「何かなあ?」という面白さがあったとは思いますけどね。

荒深  私の場合は、出展したからといって即商談があるとは思っていませんでしたから、商品の売り込みよりむしろ西播磨というざっくりとしたカテゴリーの中で、市川町がゴルフクラブ発祥の地であり、西播磨の地場産業だということを全国的に知って欲しいという思いがあったので、さほど気にはならなかったですね。

――東邦ゴルフさんはどんな商品を出展されたのですか?

荒深

 ゴルフセットはリンクスさんが出されるので、弊社はクラブのヘッドにさまざまなデコレーションを施したものを出展しました。
ゴルフ人口も減っている中で何とか女性ゴルファーを増やしたいので、性能うんぬんより、まず女性の方に「カワイイ」とか「キレイ」とか感じてもらい、こんなクラブでゴルフをやれば楽しいんじゃないかと思ってもらう。そういう狙いがありました。

――光洋製瓦さんはどういう商品を?

笹田

ギフト・ショーということでしたので、さまざまなインテリア商品を出展しました。シャチや鬼瓦のミニチュアの置物や鬼の顔をした鈴など、瓦の素材を使った商品で、やはりネット関連、通販関連のバイヤーさんからの引き合いが一番多かったです。
面白かったところでは、ステーキの店舗を展開されている方で、今度シンガポールに店を出すのだが、せっかく日本から行くのだから板の瓦をプレートにできないかと、サンプルに欲しいといったお話もありました。

――大和産商さんは?

木下

 

 「西播磨の地場産業」で出展するというお話でしたので、マッチをメインにウエットティッシュやうちわなどを出しました。
マッチに対しては「懐かしいなあ」というお声はよくいただきましたが、商談にはなかなかつながりませんでした。ティッシュやうちわは今回のギフト・ショーのターゲット先になりうるし、60社ぐらいと名刺交換もできましたので、今後も何かしらの方法で動きを続け、実績につなげていけたらと思っています。

反省点や今後に向けての課題も山積

――型どおりですが、続けて今回のギフト・ショーに参加して良かった点、反省点についてお話いただけたら。

木村  数字につながるような結果はまだ出ていないのですが、良かった点としては来場者にリンクスというブランドに興味を示していただいたことで、「リンクスって姫路で製造しているのですか?」とか「リンクスのウエッジを使っています」といったお声を随分いただきました。
 ゴルフ関連の見本市なら充分考えられる反響ですが、畑違いの多彩なギフト・ショーでこれだけの反響をいただいたことは励みになりました。来年の2月に同じ東京ビッグサイトでゴルフフェアが開かれるのですが、これなら参加してもいいかなあと少し自信がつきました。

荒深  ゴルフクラブが西播磨の地場産業であることを一般の人にも知っていただけたことは良かったのですが、残念だったのは、私たち製造業者が出展しているんだということがわかりにくく、ゴルフショップの人間が出展していると思われてしまったことです。
 自分たちが作っているんだ、西播磨の地場産品なんだということをアピールするためにも、ブースに製造工程の写真を並べるとか、各工程の半製品を置くとか、そのあたりの工夫もあって良かったのではと思います。

牛尾  じばさんが呼びかけて西播磨の皮革関係者に参加してもらっているIFFでもそうですが、作っている人がそこにいる、ブースに立っている、そこから話が広がっていくことが多いですからね。

荒深  そうすれば、たとえば西播磨のゴルフクラブのヘッドは鋳造じゃなく鍛造なんですが、その違いの説明ができたり、良さをアピールできる。私たちの狙いは、ウチの商品を買ってくださいという前に、ゴルフ業界のバイヤーの人に姫路に商談に来てもらうことですから、そのあたりが少し物足りなかったです。

笹田  私も同感で、ゴルフクラブやマッチ、瓦が西播磨の地場産業だとPRができて良かったし、児玉先生のご指導の結果、ブースもすごくいい感じでありがたかったんですが、(来場者が)鑑賞して満足してしまうだけで終わってしまったような気もします。もう少し一つ一つかみ砕いて、荒深さんが仰ったようにゴルフクラブの製造工程を見せていくとか、マッチにしてももっとゴチャゴチャと並べて、御社の名前がここに入りますよといった訴え方をした方が商談にはなりやすかったのではと思いました。

――そのあたりが今後の課題ですね。大和産商さんはいかがでした?

木下

 

西播磨の地場産品ということでしたのでマッチを前面に押し出したのですが、そうした会社がティッシュやうちわもやっていると認識していただいことは良かったのですが、(来場者が)私たちが狙っていた客層と若干違っていたことが残念でした。
  また、以前にも弊社単独で販促品の見本市に出展したこともあるのですが、そのときはブースの設営も自分たちでやったため、中途半端な形に終わったのに対し、今回は児玉先生のご指導を仰げてたので随分と勉強になりました。

今後は地場産業同士のコラボレートも

――最後の質問になりますが、もし来年もじばさんとしてギフト・ショーに参加することになれば、これに加わろうと思われますか? また、それ以外で今後の販促展開や情報発信について考えておられることがあれば、お話しください。

木村  弊社がまた参加させていただくかどうかは別問題として、ギフト・ショーの中身に合致したアイテムを作っておられる西播磨の地場産業の方々にとっては大変意義のあるものだと思いましたので、ぜひ参加をお勧めしたいです。
 ただその場合も今回の反省を踏まえて、大挙して来場されるバイヤーたちがピンポイントでそこをめがけてやってこられるような配慮が主催者側に求められると思います。

荒深  私も同感ですが、ギフト・ショーへの参加も含めて何かしら情報発信しようとする場合は、西播磨のゴルフクラブ業界として足並みを揃えることが大事だと改めて痛感しました。これまでも共通のマークを作るなどして、業界が一体となってやろうとしたのですが、なかなか実現には至りませんでした。今後も共通ブランドを立ち上げるなどの努力を続けたいと思っています。
 ギフト・ショーをはじめ、もしそうした場があって、じばさんからお声がかかったら、みんなに呼びかけてできたら業界として参加したいですし、今度はもっと商談につながるようにとか、地場産センターにもいろいろと意見を出していきたいと考えています。

笹田  私もギフト・ショーという分野での参加は興味深かったし、ありがたかったのですが、弊社の方の商品開発が追いついていなくて、充分な成果を出すことができませんでした。
今後も魅力的な商品開発に取り組み、じばさんと一緒にやれるものがあれば喜んで参加したいと思っています。
 また、独自ででもいろんな見本市に出展していこうとも考えており、具体的には11月に開かれる中小企業総合展に出展する予定です。この総合展は各社の技術力をアピールする場で、技術的な交流も行われ、得るところが多いので、西播磨の地場産業の方も参加されてみてはと思います。

木下  ギフト・ショーには何十万人という方が来場されるので、商品の宣伝の場としては大変有益だったと思います。
 ただし、光洋製瓦さんと同じで弊社も新たな商品開発、ターゲットづくりという点ではまだまだ遅れており、こうした課題が克服できた暁には、こういう場でどんどん宣伝していきたいと考えています。

荒深

  最後に付け加えさせていただくと、私自身、マッチや瓦が西播磨の地場産業であるということを迂闊にも知りませんでしたし、それを知ることができたという点でも参加して良かったと思います。
 また、参加されたみなさんとお話しする中で、たとえば瓦の素材でゴルフクラブができないか、クラブの形をしたキーホルダーなどが作れないかといった話も出ましたし、姫路の地場産業同士がコラボレートすることにより今までなかった新しい商品が開発できるのではないかという思いにも至りました。

笹田

 余談ですが、ある乾燥ナマコの産地が在庫を抱えて四苦八苦していたのが、これをコーティングしてキーホルダーにして販売したところ「キモカワイイ」のが受けたのか、大ヒットしたという話もあります。違う業種がアイデアを出しあうことの大切さを示していると思います。

――西播磨の地場産業といいながら、実際には異業種同士の横のつながりはなかなかない。じばさんという共通の基盤を生かして西播磨の地場産業でもっとコラボレートしていけないかということのようで、われわれ姫路・西はりま地場産業センターもその仲介役になれたらと思います。本日は長時間どうもありがとうございました。



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