安心・安全の兵庫県認証食品
平成24年(2012)の冬にもノロウィルスによる食中毒が問題になったが、相生漁業協同組合ではカキの「安心・安全」の追求にも力を入れている。毎月1回県の指導のもとで貝毒検査を行っているほか、組合独自に養殖海域海水・生産者使用水・出荷カキなどの細菌検査を週に1度行っている。
ノロウィルスに関しても仲買業者を通して日進月歩で進化する検査方法、多種多様な遺伝子パターンの解析に対応できる外部機関に検査を委託するなど、消費者に安心・安全を提供できるよう組合をあげて努力している。相生牡蠣が「安全性の確保」を1つの基準とする兵庫県認証食品に選ばれているのも、このあたりに理由がありそうである。
さらに特筆したいのは、地種採苗、育成への取り組み。県内でカキ養殖事業を行っている地域では、ほとんどが養殖するカキの種苗を他県から調達している。しかしすべての種苗を外部から調達する従来の方法では、将来的な不安定要素を残すことになる。
たとえば震災の影響などで調達先の種苗が品薄になったり、不出来だったりすれば購入単価が高騰し、経営を圧迫する。そこでそうした種苗のコスト低減や危険の分散を図るため、組合では平成13年度から兵庫県水産技術センターと相生市の指導を受けて地種の採苗(種付け)と育成に取り組み、平成17年に地元相生湾の種ガキを使った「生粋の相生カキ」の養殖に成功。市場にも出荷している。
[次のページへ] |