決め手になった「手延」ならではのうまさ
こうした努力が揖保乃糸ブランドを確立し、全国最大のシェアを占めるまでに至ったのだが、最大の決め手となったのは味。「手延素麺ならではのうまさ」ではないかと、揖保乃糸資料館そうめんの里の齋明寺啓介支配人は話す。
よく知られるように、小麦粉に塩水を加えて練ってやると粘りが生じる。この粘りの正体がグルテンというたんぱく質で、この粘着性と弾性を持ったグルテンをいかに形成させるかが麺のうまさを左右するといわれている。
この点、手延素麺である揖保乃糸は、文字通り麺生地をねじりながら延ばしていく。ただ延ばすのではなく、ちょうど縄をなうように生地をねじりながら延ばしていくので、グルテン繊維が縄のように複雑に絡み合い、それが麺の腰の強さや歯ごたえの良さに通じるのだという。
しかも、こうしてできた揖保乃糸の断面を見ると無数の穴があいており、麺を茹でる際に湯がその穴の中に浸透していくためにより均一に麺が茹であがり、さらなるおいしさにつながっていくというのである。
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