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エコな心構えと技法を大切に守り
姫路伝統の白なめし革を次代に
白なめし工房 姫革(新敏製革所)  新田眞大さん

──白なめし革というのは一言で言うと?

 千年以上の歴史を持つ姫路の伝統産業で、脱毛して塩と菜種油を用いながら揉みあげ、天日に晒して仕上げるもので、他の革と違い動物本来の肌色のまま仕上がり使う人に優しい革です。

──いつ頃から取り組まれているのですか?

 伝統ある白なめし革の継承者がたった1人きりになってしまったので、危機感を持った私の伯父が世話人となって有志を集め、2000年に白なめし革保存研究会を設立。これに参加したのがきっかけです。といっても会員は高齢者ばかり。私が中心になってやらざるを得ず、白なめし革の技法を記した古文書や科学的に解説してある本などを読んで独学でやり始めました。

──で、その後は?

 石の上にも3年という言葉がありますが、やはり1年、2年じゃ思うようなものができず、ある日たまたまテレビで太鼓の皮を張る様子が映し出されるのを見て、あることに気づいたんです。太鼓の上に人が乗って革を踏み、まわりから革を絞って……という作業なんですが、この何気ない作業の中になめし方のヒントがあった。自分の中で確信が一瞬見えた気がして、それがきっかけとなって、ぼつぼつ自分の思うような白なめし革がつくれるようになりました。

──新田さんの白なめし革は、伝統の中に現代的な技法を取り入れたものだとか?

 昔は手と足で皮をもみ、天日で干すという作業だったんです。機械も何もない時代でしたから。現在では機械化が進み、重労働も軽減され、生産量と品質も改善されるようになりました。
  でも、原理的には伝統的なやり方と変わりません。塩を使うことで原皮を殺菌し、腐敗を防ぎ、余分な水分を追い出す。なたね油をもみ込むことで柔軟で強靭に仕上がる。先人たちは日々試行錯誤、工夫しながら今日に伝えました。すごいと思います。
  あとは気候風土。革づくりは世界各地で行われてきて、その土地その土地に合ったなめし方をやってきたのですが、姫路が日本の皮革の一大産地なったのは、雨が少なく温暖な瀬戸内式気候と、市川の豊かな水のおかげ。最適な環境が姫路の高木地区にはありました。
  革づくりに一番大事なのは「自然の力」なんだということを、白なめし革をやり始めてしみじみ実感しました。

──皮革はそもそもが自然由来のものということですね?

 はい。なぜ私たちは皮革の仕事をやっているのかということを改めて問い直してみることが大事だと思います。皮革なめし業は、その動物をもう一度、生かすということ。自然の恵み、動物の恵みいただいている、動物の命をいただいて食料にし、その副産物である皮をもう一度使わせてもらっている。長い歴史の中の、そうした人と皮の付き合い方にもっと気づくべきじゃないか。化学薬品が含まれていない白なめし革だからエコなんじゃなく、作る人の心構えがエコ(心優しさ)でないといけない。私はそう思っています。

──なるほど。で、話は変わりますが、IFFには早くから最初から出展を?

 はい。じばさんセンターさんにお誘いを受けて1回目から。でも、IFFでは素材は対象外ということなので、あわてて外部のクリエーターにお願いして白なめし革を使ったバッグとか靴、小物などつくってもらいました。

──今回のIFFにはシカ革の製品を出展されていましたが、これは?

 何年か前に東京のレザーフェアの会場で、北海道のエゾシカ協会の方々から、農作物に被害を与えているエゾシカの皮を有効活用できないか、と相談がありました。その後、日本古来のなめし技法で環境にやさしい革である白なめし革で商品開発したい、と話は進み試作に入りました。

──それで白なめしでシカ革をということに?

 はい。シカ革は一度もやったことがなかったんですが、時代にも合いそうだし、一か八かやってみようということに。で、最初は牛革と同じようになめしてみたんですが、これが失敗ばかり。牛革とは繊維が違うし、皮の厚さもうんと薄い。当然、なめす時の力加減も違う。うまくできるまでに1年ぐらいかかりました。

──「かわびじん」という洗顔用の鹿革も出展されていましたが?

 シカ革には軽くて繊維が強く、保湿力が高いというほかに、油脂分や汚れを取るという特徴があるんです。それを生かしたのがこの「かわびじん」で、ぬるま湯につけて水分をたっぷり含ませ、お肌を撫でる感じでマッサージしてもらうと、お肌がすべすべになり、老若男女を問わず多くの方々に支持され、今では中・高生男子までもニキビや吹き出物には効果があると評判です。天然素材だけでつくっていますので、安心してお使えいただけます。

──ヒット作になることを願っています。ぜひこれからも白なめし革の継承・発展にご努力ください。期待しています。


●白なめし工房 姫革
姫路市花田町高木196−1 TEL/079−222−2216    
http://www.shironameshi.com



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